作文を指導しない日本の学校

作文を指導しない日本の学校

2017年07月20日

作文を指導しない日本の学校

 

以前のブログで紹介したように、日本の子どもたちは「作文」に対して、良い印象を持っておらず、その能力も十分でないと、自覚しています。そして、学校での作文指導は、質・量ともに大きく不足しているようです。

なぜ、10人に1人位の子どもしか好きにならない作文の指導が、日本の学校では続けられているのだろうか、ということについて考えてみましょう。

 

小学校

小学校では作文の指導が行われていますが、公立中等教育学校や中高一貫校の適性検査で課される文章の書き方の指導など、ほとんどありません。これらの学校の受験を希望する子どもは、専用の塾に通ってその書き方を習っているようです。

 

中学

中学校の入学試験でも、文章を書かせることが増えてきています。しかし、どのような指導をしているかというと、高校での指導と同じようなものです。さらに、出願にあたって「志望の動機」を書かせる高校も増えてきているようですが、担任や進路指導の先生が片手間で、添削しているのが現状のようです。

作文や志望の動機を指導する担当教員がいる学校など、聞いたことがありません。

これらの現状から考えるのに、子どもの「書く力は、日常の学習の中で自然に身に付く」と考えられているようです。

デモ授業で、「作文は好き」と答えた子どもたちに、「どうして書けるようになったの」と聞いても、「いつの間にか」という答えしか返ってきません。「書き方を練習したから」とか、せいぜいあっても、「○年生の時の担任(国語)の先生が、書かせることが熱心だったから」という答えを聞くのがやっとです。

 

高校

最近は、日本の大学入試で、私立大学の約半数、国立大学の約2割の新入生が、AO入試や推薦入試などを受験しています。ということは、大学入試の伝統的な学科の筆記試験ではなく、特に文系学部の受験者は小論文と面接の試験で合格しています。

しかし、高校小論文は、「小さい」いえども論文なので、意見や考えを述べる文章です。その大学入試小論文の指導は、文章は国語の教員、内容は社会の教員と分担しているのが実態のようです。あるいは、全く指導がされていない。

たとえば、高校の必修科目となっている「国語表現」の中で、小論文は非常に限られた扱いしか受けていません。

これは大学入試、特に推薦入試の定番である小論文の書き方についても同じことです。