なぜ、読書指導が必要か?

なぜ、読書指導が必要か?

2017年07月25日

なぜ、読書指導が必要か?

知識を広げる

本には、あらゆる分野、さまざまな難易度の知識が満載です。読書指導の目的の一つは、子どもたちにそれらの知識に触れさせることです。

誕生以後、子どもは日常生活を通して膨大な知識を習得してきます。家族や遊び友達との会話から、テレビなどのメディアを通してなど、さまざまな方法で知識に触れます。

小学校に入ると体系的な知識を学習していきます。教科書の短い文章を使った「読解」の指導が学校の国語の授業で繰り返されます。文・段落・短い文章を相手の読み取りの練習です。その学習を通して、書かれた内容が知識として習得されます。しかし、教科書の内容すべてを習得しても、成長後の社会生活には十分ではありません。

視聴覚を通して得られる情報や知識も現代生活では不可欠です。また、インターネットの急速な普及に伴い、文字情報を基にした知識の習得が若い世代では重要になってきています。

しかし、子どもが、受け身ではなく、主体的に知識を習得するには、本を読むことが、もっとも効果的です。読書を通して得られる知識は、体系化されていて、無限に幅広く、さまざまなレベルのものです。読書で習得した知識が多ければ多いほど、「考える力」を幅広く高く伸ばすことができます。

知識は、思考に必要な種

知識は「考える力」の木を大きく高く伸ばすための「種」や「栄養」になります。知識がないと「考える木」が育たないのです。

入学試験で小論文を書くときを例に、考えるプロセスを見てみましょう。

まず、与えられた課題・テーマに関連する「自分の脳の中に蓄えられた知識」を探し出して、紙に書きます。そのメモを見て、さらに関連する知識を探してメモします。これを繰り返します。

次に、書きだされた知識のメモのリストを見て、課題に関連付けるために使える知識をいくつかのグループに分けます。それらのグループを順序付けて、小論文の構成を考えて、書き上げます。

この小論文を書くというプロセスの一番最初に「知識」が必要です。もしその知識が全く無かったり、極端に少ない場合は、「小論文が書けなかった」という結果になります。

簡単な例で見ましたが、HOTSの説明で紹介したLOTSの「知識・理解」が不十分だと、よりレベルの高いHOTSの思考ができないことが分かります。