クリティカルシンキング(Critical thinking)

2016年05月24日

クリティカルシンキングは批判的思考と訳されます。
物事に対して、多方面から見つめ、分析し、論理的に考え、客観的に批評し評価することで、より良い適切な結論を導き出す思考法です。
どうすれば、クリティカルシンキングを身につけることができるのでしょうか。
人は思い込みや先入観に基づき判断する傾向があることを自覚すること、批判的な視点で吟味すべき項目を知り、検証すること、異なる視点を持つためのトレーニングをすることで、クリティカルシンキングの技術を会得することができます。

 

思い込みや先入観に基づいた判断では、物事を健全に正しく見ることができません。
誰しも経験したことがあるでしょうが、人は思い込みを持つものです。
この世に生まれて生きる中での経験や体験を通して、自分なりの価値や判断基準ができます。
それらの枠組みの中で、物事を見るから思い込みや先入観が生じます。
例えば、レポートや論文を書く際に、自分が立てた仮説を証明するために、都合のよい資料や解釈ばかりを取り上げる。職場での数値目標達成のために、虚偽のデータや偏った意見を採用してしまう。一つの現象をとらえ、それが全体を示しているかのような、無理な一般化をしてしまうことなどが挙げられます。
自分が見たいように見てしまうと、客観性が失われ、論理が破綻してしまうことを自覚することが、批判的思考技術を身につける第一歩です。

 

次は、「問題の前提に誤りはないか」「根拠にする情報が少なすぎないか」「事実の羅列の中に自分の主観を混ぜ込んでいないか」など、批判的な視点で吟味すべき項目を知ることです。
「どうしてそうなるの?」「本当に意味があるの?」と、疑問を持ち、一つ一つ分析し検証していくことです。

 

そして、異なる視点を持つためのトレーニングをすることが肝心です。
物事を筋道立てて考えるだけでなく、あらゆる角度から物事を考え直してみるのです。
それは、自分の立てた論理の真偽を判定することに結びついていきます。
「クリティカルシンキング」の本を何冊読んだとしても、知識は得られますが、クリティカルシンキングの技術を自分のものにすることはできません。
バタフライの泳ぎ方を知識として理解していても、実際に泳ぐことは難しいものです。泳ぐトレーニングを繰り返して、泳ぐ技術がマスターできます。
トレーニングの代表として知られているのは「ディベート」です。
ひとつの命題に対して、肯定側、否定側の双方の立場に立ち、論理を組み立て、競い合うゲームは、そのルールの性質上、強制的に、人を異なる視点に立たせることができます。
異なる視点で見ると、物事に対しての見落としが少なくなります。より妥当な結論に辿り着きやすくなるのです。

 

「クリティカル」は日本語で「批判的」と訳されるため、否定的に批評するイメージがありますが、本来の意味は、健全で好意的に物事を正しく批評することだと捉えています。物事に対して、より良い結論を導き出すために、「なぜ?」「どうして?」の疑問を抱き、全ての論点に無理や誤りがないかチェックしてみましょう。そして、異なる視点を持つためのトレーニング方法である「ディベート」を通して、クリティカルシンキングの技術を会得しましょう。

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