本居宣長と桜

2017年04月11日

そこかしこで桜が満開です。
花の薄桃色が遠くからでもひと際目立ちます。
花が散った後葉っぱが出てくる里桜は、江戸時代に品種改良されて作られたものだそうで、それまでは、葉と花が同時に出る山桜を愛でていたようです。
桜を見ると、「もののあわれ」の言葉が浮かびます。
咲いている期間が短く、一斉に潔く散っていく桜には、見た目の優美さに隠れたはかなさを感じてしまいます。
四季のある日本で、毎年春になると桜を鑑賞してきた者なら誰しも同様の情趣を抱くことと思います。

 

日本最古の歴史書「古事記」を、35年の歳月をかけて注釈書「古事記伝」を著した本居宣長は「桜」が大好きだったようです。
「敷島の大和心を人問はば、朝日に匂ふ山桜花」(大和心〈日本人の心〉とは何かと人が尋ねたなら、朝日に照り輝く山桜の花のようなものだと答えよう)と詠んでいます。
日本本来の思想や哲学を研究した国学者ですから、桜の花と、日本人の心の本質が重なったのでしょうか。
71歳の晩年には、秋の夜長に目覚めた時に詠み続けた、桜を題材にした歌、「枕の山」(「桜花三百首」ともいう)を300首も残しています。

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